ママさん看護師
座談会
看護師でもあり、ママでもある
私らしい生き方を模索できる、寄り添ってくれる環境
お名前 Aさん
看護師歴 20年
お名前 Yさん
看護師歴 21年
お名前 Eさん
看護師歴 19年
お名前 Kさん
看護師歴 5年
葛藤があるから、看護師としてもママとしても成長できる。
-お子さんを出産し、復帰されてどのような気持ちや考え方の変化がありましたか?
Yさん 来年小学生の長男と、3歳の次男がいます。最初の出産まで約15年間、看護師の仕事をしながら、働きやすさや新人教育などマネジメント業務もしてきました。長男出産後に復帰した時、歯がゆかったのは、出産前のように仕事を第一優先にできないこと。時短勤務で「あとはお願いします」と誰かに頼んで帰るのは申し訳なくて、すごく抵抗がありました。他のスタッフと雑談というか、たわいない話をする時間もなくなって、ちょっと孤独感も感じましたし……。
Aさん 私もそうです。
Eさん 私も。よく分かります。
Yさん 悩んで先輩に相談したら「何が大事か考えて働かないと倒れちゃうよ」と言われて。限られた業務時間で効率よく仕事をして、家では子どもに向き合えるよう割り切れるまで、けっこう時間がかかったように思います。
Kさん 私はまさに今、その問題に直面していますね。看護師として未熟な新卒入職後3年目に娘を出産し、産後に復帰した部署から異動して1年くらいで、業務に慣れるのに必死。娘は3歳で時短勤務をしていますが、仕事を残して帰るのは申し訳ない気持ちもあります。でも先輩ママさんが私のことも、子どものことも気にかけてくれて「手の届く範囲で一生懸命に仕事したらいいんだよ」と言ってくれるので心が軽くなりました。
Eさん うちの子は4歳でお父さん子。お父さんがテレワークも多いので協力しながら働いています。私は、産休復帰後は業務がいっぱいの時、「もう無理。これ手伝って」と周囲に早めに助けを求められるようになったのが大きな変化であり、ある意味成長と言えると思っています。子どもの急な発熱で迎えに来るよう園から連絡があると、仕事を途中で放り出して帰らなければいけないことに罪悪感があったんですが、同僚から「看護師の代わりは他にもいるけど、子どものお母さんはあなたしかいないんだから、早く迎えに行ってあげて」と言われて、気が楽になりました。
Aさん 私は産前も産後も外来化学療法室勤務なので、終業時間が17時10分と決まっています。その時間に帰れれば保育園のお迎えに間に合うので、時短勤務はしたことがないですね。外来化学療法室の他のメンバーはみんな50代、子育てがひと段落した先輩方。小学1年生と4歳の二人の子育て中という私の状況を理解してくださり、自然に手を差し伸べてくれる感じなので助かっています。
Yさん 私は今月で時短勤務が終わりますが、夜勤回数などの希望を聞き入れていただいています。育休から病院に戻ってものすごく新鮮に感じたのは、母親の役割とは別の、看護師としての自分の存在が認められていて、一人の人間として意見が言えること。「家庭とは別の場所で役割があり居場所があること」が、私にとってとても大切なことだと今も感じています。そして、家族もそんな私を応援してくれていています。子どもたちが赤十字マークを見て「これ、お母さんの病院のマークだね」と言ってくれた時はうれしくて、子育ても仕事も頑張ろう!と元気になりました。
ママさん看護師への温かさと
先輩後輩を信じる文化が病院の風土
-ママさんならではのお悩みやお気持ちもあると思います。ママさんに対しての看護部や病院の働きやすさなどはいかがでしょうか?
Yさん うちは私の両親が元気で子育てに協力してくれていたんですが、新型コロナ禍ではさすがに頼めなくて……。夫と休みを調整しています。それでも子どもの急な発熱で「今日は休みます」って言うのは気が重いんですけど、上司は快く対応してくれる。他のスタッフもママさんが多いので「子どもが小さいうちは仕方ないよ。お互いさまだから」と声をかけてくれて、心苦しさを軽減してくれますね。
Eさん 私はこの病院に入職するまでいくつか他の病院を経験していますが、ここはお母さん看護師がけっこう多いから、働きながら子育てする悩みを共有できるんですよね。急に休むと連絡しても「お子さんの体調は大丈夫?」と逆に気遣ってくれる。
Kさん 休まれる側にすると、急にものすごく忙しくなるじゃないですか。それをみんなで力を合わせて乗り越えていこう、という雰囲気が病棟内にあるんです。その日が終わってすごく疲れることは確かですが、やり切った感、達成感がある。
Yさん 病院全体で、子育てで時短勤務の人は早く帰らせてあげよう、という配慮があります。先輩たちは子育ての苦労を分かってくれるし、入職3年目、4年目の若い子たちも時短勤務の人に「手伝いますよ」と声をかけていますね。子育て中の看護師を思いやる風土があるのはいいことだと思います。
Aさん 20代の時、子育て中の先輩が急に休んで「どうしよう」って焦りながらも頑張った経験があるので、今度は自分が休むことになって申し訳ないけど、こういうのは順番で、きっと周りが受け止めてくれるし、逆になったら自分も受け止めようという考え方が病院で受け継がれている気がします。
Yさん 病院側と看護側がお互い助け合おうね、という関係性があります。でも環境に甘えすぎるんじゃなく、謙虚さも大事だと思うんです。時間の余裕がある時は、できるだけ周りを手伝おうという気持ちを持って働いていたいです。
Kさん 育児休暇や、子どもが小学生になるまでの時短勤務、院内保育や夜間保育、病児保育など福利厚生も充実していて、子育て中も勤務しやすい。みんなが働きやすい職場環境が、急性期病院として質の高い医療を提供することにも直結している、という病院側の考えを聞き、看護師を大事に育てていこうという姿勢を感じます。
看護部全体がいいチームになるために、
時短でもママさん看護師が役割を持つことの大切さ。
ー看護部さまはほかの職種との連携のなかでも、委員会などに所属されていることが多いと思いますが、皆さまはいかがですか?
Aさん 私は化学療法委員会、認定看護師会、がん診療関連機能充実委員会に所属しています。委員会の時間は以前16時からだったので小さい子を持つ看護師は参加することができなくて、子育て世代ではない方々にお願いする形でしたが、今は14時半からになったんです。委員会はとても重要なものですが、その分普段の科の業務以外の活動であるためとくに独身組に負担がかかってしまうのが実情でした。なので、時間が早くなったことで時短勤務の人も委員会に参加できるようになり、とても助かっています。
Eさん 私とTさんは、在宅復帰支援リンクナースに入っています。委員会の時間が変わったのは独身組の負担を減らすだけではなく、ママ看護師や時短勤務の看護師の「申し訳ない」という気持ちを少なくした意味でもよかったと思います。
Kさん 今年からNSTリンクナース会に入りましたが、日々の業務の忙しさと距離を置ける、リフレッシュできる時間にもなっています。委員会で学ぶことは、自分のキャリア形成だけでなく患者さんにも病院の医療にも役立ちますから、ママ看護師でも参加できる委員会体制はありがたいですね。
看護師としても母としても輝くために
-これからのキャリアの目標やママさん看護師としての働き方、看護師さんとして挑戦してみたいと思っていることをお教えください。
Eさん コロナが落ち着いたら外部の勉強会に参加したいと思っています。刺激を受けられたら自分の学びにもなるので。周りの人の助けで仕事を続けられているので、同じ境遇のママさん看護師が困っていたら声をかけて手伝いたいし、この職場風土を次の世代にも発信していきたい。やってもらってありがたかったことは、他の人にもお返ししていきます。
Aさん 私は認定看護師でもあるんですが、認定看護師の資格を5年に一度更新するには学会に参加することも必要。努力しながら更新を継続したいです。自分らしさを保つ姿を見せることも子どもによい影響を与えると思うので、仕事と家庭生活を両立させ、自己成長しながら人生を楽しみたいですね。
Kさん チームリーダーもしたことがないので、まずは一人前の看護師として働けるようになりたい。少し前に、患者さんとちょっとしたトラブルがあったんですが、先輩が間に入って助けてくれて、病棟内でカンファレンスが行われました。問題をみんなで解決していく体制があるこの病院でずっと働き続けたいと思っています。そして仕事が終わったら気持ちを切り替え、笑顔で家族と過ごせるようになりたいです。
Yさん 子どもたちが私のしている仕事や働く姿を見て「看護っていいな」と思ってくれることが目標です。一人の女性としても看護師としても輝いていたいし、子どもたちにとって「元気に働くお母さん」でいたいと意気込んでいます。