緩和ケア病棟

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医療看護の現場から(平成14年7月14日)

―患者の意思を尊重したケアを目指して―

治癒を目的とした治療が困難となったがんなどの患者とその家族のケアを専門に行い、最期までその人らしく、尊厳を持って過ごすことができるように援助していくことを目的とする「緩和ケア病棟」。終末期医療に対する社会的関心の高まりもあり、近年、病棟開設の動きが活発化しています。大阪では5月7日、高槻赤十字病院に府内3番目の病棟がオープン。一人ひとりの意思を尊重し、患者本人にあったケアをめざして看護師たちが日々努力を重ねています。

平屋建て、赤い屋根がすてきな同病院の緩和ケア病棟。建物の南側は池と緑に面し、水・緑・光をふんだんに室内に取り込んでいます。病室は全室個室で20 室。家族のための宿泊スペースや談話コーナーも設置しています。医師は3人(うち1人は非常勤)、5年以上の看護経験をもつ看護師18人がケアに対応しています。

緩和ケアでは、身体的な苦痛を取り除くための治療を行うだけでなく、精神的な苦痛、孤独、不安などを軽減するメンタルケアも重視しています。また、患者にとって家族による支えは欠かせないもの。そのため家族に対するサポートも医療従事者の大切なケアの一つになっています。

「患者1.1人につき1人の看護師がいるので、一般病棟に比べると患者本位のケアを実行しやすい。細かなニーズに耳を傾け、患者や家族の気持ちに寄り添いながら対応していくことが出来ます」と看護師長の藤田利子さん。身体機能が低下し、日常の動作が難しくなる方もいますが"できないから"と家族や看護師が代わりにやってしまうのではなく、できる工夫をすることによって最期まで自分の力で生きたという実感につなげていきたいとの思いで日々かかわっています。

患者や家族は回復への望みが困難になる中で、悲嘆に暮れたり、怒りやいらだちを看護師にぶつけることが多いものです。「ナース同士がオープンに悩みを出し合うことによって、その悩みを共有し、解決策につなげていくことができます。そのためにも毎日必ず話し合いの時間を持つようにしています」と語るのは、ホスピスケア認定看護師の鎗野りかさん。ホスピス・緩和ケアについて学んだ専門的な知識や技術を生かしながら、看護スタッフにアドバイスを行っています。

「手を握ったり腕をさすったり……といったスキンシップを図る。ベッドサイドに座って患者を見守り、ともに時を過ごす。そうした言葉以外のコミュニケーションが患者の気持ちを落ち着かせ、精神的なケアにつながることも多い。処置など"何かをすること"だけでなく、看護者が"そこにいること"もケアになるのだということをこの病棟に来て改めて認識しました」。看護係長の酒井美幸さんはこう語ります。

「どう対応するのが患者さんや家族にとって"よかった"と思える最期につながるのか……。自分たちも納得でき、悔いを残さないようにするためにも最善の方法を探りたい」とスタッフたち。"生と死"という根源的な問いに常に向き合いながらの奮闘が続きます。

(協力/(社)大阪府看護協会)
(平成14年7月14日付読売新聞からの転載)

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