緩和ケア病棟

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待ち遠しかった赤ちゃん(平成19年8月17日)

日に日に暑くなり、尾広池の蝉たちも一段とにぎやかになりました。
患者さんたちも、涼しくなった頃に散歩に出かけられますが、蚊のもてなしを受け、足早に帰ってこられます。


梅雨がやっと明けた頃でした。患者Aさんに初孫が生まれました。Aさんはずっと「赤ちゃんが生まれるまでは・・・。」と、赤ちゃんを抱っこするのを目標に、坐る練習をしたりイメージトレーニングをされていました。ご家族もスタッフも待ちわびていた赤ちゃんは、出産予定日を一週間過ぎて生まれました。目が大きくて、Aさんに良く似た、とてもかわいらしい赤ちゃんでした。赤ちゃんと娘さんが退院して、患者さんと対面できるまでの一週間は、衰弱していくご自身と時間との闘いでした。
やっと対面できるその日の夜に、病状が急変し、朦朧とする意識の中、赤ちゃんを抱っこするAさんの顔は、本当に綺麗でした。その場にいた皆、涙が止まりませんでした。スタッフの一人は「マリア様みたい・・・。」とつぶやきました。
その翌日、ご家族の見守られる中、Aさんは永眠されました。赤ちゃんを抱っこしたいという気持ちと、家族を愛する強い気持ちは、Aさんをずっと支え続けていたのだな、と思いました。


この病棟に来て一年、看護師としての学びはもちろんですが、たくさんの方の人生の貴重な最期に立ち合わせていただき、私自身の人生勉強をさせてもらっています。「私は家族にあんなふうに接しているだろうか・・・。」「周りの人を大切にできているだろうか・・・。」自分自身に問いかけながら毎日を過ごしています。
初孫が生まれたAさんは、私の母より1つ年上。私も早く母に孫を抱かせる事が、私の夢になりました。

最後になりましたが、今回掲載するにあたり、Aさんのご家族にお話しをさせて頂き、快く了承をして下さり掲載する事ができました。
写真からAさんの思いを感じていただければと思います。

Tomomi.T

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