緩和ケア病棟

スタッフステーション便り

バックナンバー

桜と空と彼の手(平成19年4月20日)

今年はずいぶん変わった天候で、寒い冬が無かったかと思えば、寒い春があったりと、なんとなく地球の悲鳴のようにも思える変化でしたね。そんな天候の中でも桜の花は私たちの気分をウキウキさせてくれ、満開の花を見せてくれました。


今年のお花見は例年とは違い、桜の木の下で桜湯を飲みました。塩加減がなかなかうまくいかず、何度も試しながら、やっとほっこりする味にたどり着くことができました。お干菓子と桜湯でしばし桜に見とれていましたが、とてもきれいな青空と桜のコントラストを見ながら、年末に旅立たれた若い患者さんのことを思い出していました。


写真家である彼は入院中もカメラを担いで病院中を歩き、いいシャッターポイントを探していたようでした。出来上がった写真は「これうちの病院?」というほど、とても不思議な角度から撮られており「さすがプロ!」と頷けたものです。何枚かの写真をファイルに入れ、訪室する看護師に見せては感想を聞くことを楽しんでいたようでした。「どれが好き?」と聞かれて私が選んだ写真は、抜けるような青空と白い雲をバックに自分の手を思いっきり空に向けて開いているものでした。とてもきれいな青の色と若者らしい手が印象深く選んだのですが「それ、僕の手やで。自分の手を撮ったんや。“生きたーい”って表現したかったんや」と教えてくれました。手をいっぱいに広げ大空、夢をつかむ・・・そんな思いの裏側には以前話してくれた「病気になれへんかったら今頃東京での仕事の話があった」という夢半ばの残念な思いがあったことも思い出されました。掴む事が出来なかった夢の代わりに空を掴む事で自分の気持ちに折り合いをつけていたのでしょうか。


文章とともに掲載しております写真は実際に彼が撮影した写真です。
今回、掲載するにあたり、彼のご家族にお話しをさせて頂き、快く了承を頂き掲載する事ができました。写真から彼の思いを感じていただければと思います。
彼の写真のいくつかは冊子として緩和ケア病棟のディルームにおいてあります。お越しの際には是非、手にしてみてください。


[お詫び]
ずいぶん長い間更新できず申し訳ありません。
ステーションから見た病棟の様子をまたこれからも少しずつお伝えしていけるよう、頑張ります。

Emi.K

このページの先頭へ
高槻赤十字病院  高槻市阿武野1丁目1番1号  TEL 072-696-0571(代表)  ©2010 TAKATSUKI RED CROSS HOSPITAL