緩和ケア病棟

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切なさを笑いに変えて(平成18年6月1日)

目にも鮮やかな新緑の季節となりました。さわやかな風、清々しい空気、勢いよく伸びる植物たち、大きな声で生を謳歌する池の鳥や蛙たち。緩和ケア病棟を囲む自然では命が騒いでいます。


私事にはなりますが、先日90歳になる祖母を見舞いに行きました。いつも元気で、つい3年前までライフワークのボランティア活動に勤しんでいた祖母ですが、寄る年には勝てず、体の自由がきかなくなっていました。また、認知症で記憶も曖昧になってゆく中で、生きがいを失い、最近では「山に捨ててくれ」と言うようになってしまいました。涙もろくなり、蚊の鳴くような声で話す、小さくなった祖母を前に、なんとも切ない思いにとらわれた私は、気がつくと祖母を笑わせようと必死になっていました。
緩和ケア病棟に来られる患者さんやご家族の方々もそれぞれ、いろんな失いゆく辛さをお持ちです。失いゆく中で人は何を求めるのでしょうか?私はいつも笑っていた祖母の笑顔を取り戻そうと必死に笑わせようとしました。切なさだけには耐え切れず、何か祖母らしさを無意識に求めたのかもしれません。


緩和ケア病棟では四季折々の行事が行われ、季節を感じる瞬間、笑顔が生まれる瞬間となっています。また、この病棟で何ヶ月も患者さんと共に過ごされるご家族も時々いらっしゃいます。そのため、ご家族が過ごしやすいような環境にも気をつけるようにしています。家族の方が患者さんと共に時間を過ごすことで、残された日々の思い出が新たに生まれてゆきます。
育ちゆく命と違い、細く弱くなってゆく命をみてゆくことには切なさが伴います(切なさなんて生ぬるく身を引き裂かれるような思いをされている方も多いと思います)。「あんなに元気だったのに」「頼りになる人だったのに」・・・。その切なさの中にも笑いや暖かい時間ができれば、それが優しい思い出となり、いつかご家族の支えとなることをスタッフ一同願い、日々過ごしています。

Y・N

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