
治験の流れ
動物実験で、有効性と安全性が確認されたものだけが、治験として人に投与されます。
治験は、通常第I相試験、第II相試験、第III相試験の3つのステップを踏んで段階的に進められます。但し、一部の抗癌剤や早急に市場が望まれるくすりなどは一部省略される場合もあります。
第I相試験
少数の健康な人を対象とします。くすりを少量から投与し、少しずつ量を増やしながら安全かどうかを確かめます。この段階ではじめて人に投与されるため、医療体制の整った専門の施設で進められます。
※高槻赤十字病院では、第I相試験は実施しておりません。
第II相試験
少人数の患者さんを対象とします。くすりの適切な用法や用量を調べます。
第III相試験
多くの患者さんを対象とします。他の標準的なくすりや、薬効のない物質(プラセボ)と比較して、くすりとしての有効性と安全性を確認する最後の試験です。
開発した製薬会社が、厚生労働省に治験の結果を提出し、正式に医薬品としての価値があるかどうか審査されます。厚生労働省の審査をパスし、医薬品として承認されたものが「くすり」として世に出てくるわけです。
第IV相試験
実は「くすり」が世に出てからも、厚生労働省の指示や、製薬会社の意志により様々な試験が行われます。これを総称して「第IV相試験」といいますが、これは治験ではありません。残念なことに、承認されたくすりでも、思わぬ副作用が出たり、何年か経ってから「効果なし」と判定されて、医薬品から外れてしまったものもあります。つまり、治験だけではカバーしきれない色々な情報を入手することが第IV相試験の目的ということになります。